オフィス空室率の低下による影響

5月末に発表された東京都心のオフィス空室率は8.33%
これは3年4ヶ月ぶりの低水準とのことです。

たしかに、賃貸事務所の空室が少なくなってきていることは
我々も実感しているところであり、さらに今後も低下するのではないかと
予測しています。

では今後も賃貸事務所の空室率が低下していった場合に
借り手側から見るとどのように変化していくのか。
経験に基づき、少し考えてみたいと思います。

まず、これまではリーマンショック以降の不況のあおりで、
企業の倒産、合併が相次ぎ都心部の事務所空室率は上昇。
当然、空室が増えるとオーナーは困ります。
その後はご存じのとおり、賃料は下落し、フリーレントなどの
付加価値をつけることでテナントを誘致してきました。

これを踏まえて今後空室がなくなることを考えてみると、
まず賃料相場の値上がりが始まります。(現在はまだ若干下落しています)
その後、フリーレントや段階賃料などの付加価値をつける必要なく
テナント誘致をすることができますので、こうした特約を謳った事務所の募集も
無くなるでしょう。
実際に少しづつ減ってきているように思います。

またさらに空室が無くなると…
これは私の経験からなのですが、同じ事務所物件に数社の申込みが
重なることが頻発します。
まだ先行が入っていない物件を午前中に内覧を済ませ、
夕方に申し込みをしようとしたら、既に4社の先行が入ってしまった。
なんてことも実際に経験しました。

人気のビルになると、入札で決めるということもありました。

その状況まで行くかどうかは、まだ現段階ではわかりませんが、
可能性はゼロではないと思いますので、これから移転の計画を立てる
企業様は念のため、そのような事も考慮しておくと良いかもしれません。

保証金/敷金が半額に

賃貸借契約では切ってもい切り離せない保証金、または敷金。
ワンルームマンションなどの居住用では、賃料の1ヶ月分から2ヶ月分
の敷金を貸主に預けます。
賃貸事務所では、およそ6ヶ月分~12ヶ月分と契約時の
契約金の中でも相当な比重を占めます。

どの企業もそうだと思いますが、事務所などの転居時には、
イニシャルコストはできるだけ削減したいと考えるのが自然ですよね。

特に、創業から日の浅い企業など資金需要旺盛な時期に
眠らせておくだけの預託金は極力少なくしておきたい思います。

ということで、賃貸事務所ドットコムでは今回、
その保証金が半額になる物件だけを集めたページを
作りましたので、是非ご紹介したいと思います。

保証金半額の物件を特集したページはこちらをご覧下さい。

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会社設立時、賃貸事務所の借り方・手続きの流れ

会社を新たに設立する際の手続きでは、まず最初に
会社商号、本店住所、会社の目的を決めなければなりません。

その中でも本店、いわゆる事務所は、
法人登記の前に存在していなくてはいけないということになります。
自宅で登記する場合は別として、
新たに賃貸事務所を借りる場合には、既に設立している会社の
移転とは契約内容が異なってきます。

ここでは、一般的な事務所を借りる前提で、
会社設立時の賃貸事務所契約のお話しをてみたいと思います。

登記簿に記載する必要がある事務所の住所。
当然、登記が完了する前に法人名義で賃貸借契約を結ぶことはできません。

では、どうすればよいのか。
賃貸事務所の借り方、手続きの流れを簡単にまとめました。

契約の流れ
その①
会社を設立する代表者が個人で契約
注意点
法人が借りる場合は代表者個人が連帯保証人になるのが一般的ですが、
個人の場合は、契約者本人が連帯保証はできませんので、
別の方を立てるか保証会社を利用しなければなりません。

その②
契約の際に特約として、会社設立後は法人が契約の当事者になるという
項目を入れておく。
注意点
物件を不動産会社から紹介された時点で、そのような契約が可能かどうか
確認しておく。

その③
会社設立(登記)後、契約書の特約に基づいて法人として契約を結びます。
注意点

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賃貸契約の審査について

気に入った賃貸事務所を見つけたら、
入居申込書に必要事項を記入し、
会社概要や謄本などを添付して貸主に提出をします。
そして、入居審査を行い貸主の承諾を得れば契約となります。

入居審査で不可ということになると、
その物件には入居できないということになりますが、
この入居審査、いったいどういうことをしているのか。
一般的には広く知られていないことと思います。

今回は、その賃貸契約の入居審査についてご紹介します。
貸主によっては審査方法が異なりますが、
ここでは一般的な方法をご説明してみたいと思います。

  • 信用調査
    民間調査会社の評価点数を参考にするものです。
    評価点数とは、企業の業績や資産、事業内容、設立年数など、
    数々の項目を総合して○○点満点中の○○点という形で表します。
    この調査結果は、以前に調査を受けた企業ならデータベースに
    ありますので、その中から該当企業の情報を見ます。
    データがない企業の場合は、調査依頼をしなけれいけませんが、
    簡単なものでも数万円の費用がかかるため、しない事が多いです。
  • 調査データが無い場合
    設立して間もない企業や中小企業などは、調査会社のデータベースに
    入っていないこともあります。
    では、その場合は審査に落されてしまうのか、というとそんな事はありません。
    以下は、調査会社の評価点以外に用いられる判断材料です。

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短期賃貸借制度の廃止について

賃貸事務所を借りる方は、契約する前に重要事項の説明を受けると思います。
その説明の中に補足として「短期賃貸借制度の廃止について」という
項目があります。

この「短期賃貸借制度の廃止」とはいったいどういうものなのか。
法律用語で固められ、難しく表記されている事が多いので、
ここで、簡単にご説明してみたいと思います。

まず、廃止された短期賃貸借制度とは

前提として、原則的に抵当権設定登記後に締結された賃借権は、抵当権者(債権を有している者)に
対抗出来ませんでした。
抵当権が実行された場合、賃借人は、競売により競落した買受人に対し、
借地や借家を直ちに明け渡さなければなりませんでした。
また、敷金も買受人に引き継がれませんでしたので、返済資力がない旧所有者にしか請求できませんでした。

このように賃借権が保護されない状態では、抵当権が設定されている建物や土地については、
気軽に借りることはできなくなり、抵当権付不動産の有効利用が妨げられてしまいます。
そこで、旧民法では、建物は3年、土地は5年を超えない賃借権について、
抵当権者に対抗できるものとし、短期の賃借権に限りこれを保護する法律になっていました。
(短期とはつまり、上記の期間のことです。)

上記の短期賃貸借制度がなくなった(平成16年4月1日)ことについて、
賃貸借契約前に行う重要事項説明の際に補足しているのです。

 

制度を逆手にとった権利の濫用
上記のように、元来は賃借人を保護するためにできた制度ではあったのですが、
賃貸借の事実がないのに、敷金を預けていたとして多額の返還を請求したり、
高額の立ち退き料を請求するなど、制度を濫用して抵当権の執行が
できなくなるなどのケースが増えてしまいました。
このような理由から短期賃貸借制度は平成16年3月末日をもって廃止になりました。

 

制度が廃止されたということは、
単純に考えると、新しい所有者には賃借人は権利を何も対抗できないので、
移転先も決まらない状況で直ちに退去しなければならず、
敷金も前の所有者(資力がない可能性が高い)にしか
請求できないということになってしまいますね。

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