事業用、居住用のどちらでも、また売買、賃貸問わず契約時に、ほとんどの場合は「契約書」と「重要事項説明書」をみなさん渡されていると思います。
似たような内容が書かれているこの2つの書類は、いずれも後のトラブルを回避するために契約前に内容を把握するためのものですが、なぜ同じような内容なのに2つあるのでしょうか。
また賃貸の契約では、重要事項説明書を発行しないケースもあることをご存じの方は少ないかと思います。
ということで今回は、契約時に渡される2つの書類の役割と、重要事項説明が無いケースはどいうもので、どういうところを注意すれば良いのか解説します。
契約書が基本です
契約の内容は物件によって様々です。すべて統一できればよいのですが、貸主の考え方や価値観の違い、また一つとして同じものがないという不動産の特徴から、違うのは当然といえば当然です。
ですから、物件毎にしっかりと内容を確認しておかないと何度も引越しを経験されたベテランの方でも後々のトラブルになりかねません。
トラブルを回避するための書類が賃貸借契約書です。物件毎に多少違いはありますが、基本となる雛型が用意されていることが多く契約前に見せてもらうことができますので、契約内容で不利な部分がないか事前にを確認しましょう。
契約書は2通(3通の場合もあり)作成します。貸主、借主の記名押印後、双方に1通づつ渡されます。
重要事項説明書は不動産会社が発行
重要事項説明は、宅地建物取引業法で義務付けられているもので、賃料や使用における条件など、契約に関して重要な事項を口頭で借主に説明を行うためのものです。
ですから、契約書を元に仲介した不動産会社が作成・発行することになります。また、重要事項説明書の記名押印、口頭説明は必ず宅地建物取引士が行います。
先にも書きましたが、契約書を元に作成しますので似た内容になりますが、内容をより強く借主に把握して貰うのが重要事項説明書の役割としてご理解下さい。
重要事項説明書は仲介を行う不動産会社が2通発行し、不動産会社と借主の記名押印後、双方に1通ずつ渡されます。
※貸主には渡されません。
重要事項説明書がない場合がある
前述したように、重要事項説明書は、宅地建物取引業法で賃貸契約の仲介をした不動産会社に義務付けられているものです。
ほとんどの不動産(賃貸)契約では、仲介として不動産会社が間にはいりますが、大家さんと直接契約する場合や不動産会社が直接貸主である場合も中にはあります。
その場合は重要事項説明の義務はなくなりますので、契約書のみで契約するということが考えられます。
そのようなときは、契約書に記載されている内容はもちろんのこと、「重要事項説明書にだけ記載される内容」も事前に確認するようにしましょう。
以下に契約書には記載されていない主要な内容を挙げておきます。
重要事項説明書にだけ記載される内容
重要事項説明書には契約条件の他にも重要な内容が記載されています。
- 不動産会社の説明
仲介する不動産会社の代表者、宅地建物取引士、所在地や連絡先など - 建物の権利に関する事項
登記簿謄本をもとに、差押えの有無や抵当権の設定の確認を行います。 - 法令上の制限
都市計画の制限や災害警戒区域内の可否について - 建物設備の状況
- 管理業務の受託者
入居後なにかあったときの連絡先 - その他
石綿調査の有無、耐震診断の有無など
これらの記載は、契約書にはありませんので、もし重要事項説明が無かった場合には確認してみてください。
まとめ
過去に賃貸の契約をされた方の中には、なぜ同じような内容のものを二つ渡されるのか疑問に思っていた方もいるのではないでしょうか。
似た内容なら一つにした方が、かさばらず保管もしやすいので、そう考えるのも不思議ではありません。
しかし、今回の記事で、契約書と重要事項説明書の違いをご理解いただけたかと思います。契約書は貸主が、重要事項説明書は不動産会社が発行するもの。また、契約後にその書類を保管する相手方もそれぞれ違います。
そして、契約書には無い内容の項目が重要事項説明書には記載されているということ。これらを踏まええると、2つのの似た書類の両方を必ず目を通すことが重要といえます。
トラブルを回避するためにも、事前に必ず両方を確認するようにしましょう。
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