「ネットとグロス」
あらゆるビジネスシーンで聞くこの言葉。
ネットで○○円やグロスで○○Kgというような感じで使われることがよくありますが、実は、賃貸事務所仲介の業界でもよく使われます。そこで今回は、そもそもネットとグロスはどういう意味で、またどういうシーンで使われるのかを書いてみたいと思います。
特に賃貸事務所で使われるネットとグロスは、移転などで物件を探す際に知っていると便利なので、参考にしてみてください。
ネットとグロスの意味
ネット(NET)とは、正味や実質のことです。中身だけという意味もあります。一方グロス(GROSS)は総計や全体、総体という意味があります。
では、どういう場面で使われるのでしょうか。
ネットスコアとグロススコア
これはゴルフでよく使われます。18ホールで「ハンデを引く前のスコア」をグロススコアと言います。ネットスコアは、ストローク数から「ハンデを引いたスコア」のことです。
食品のネットとグロス
袋に入った食品の内容量の表示箇所をよく見てみると、表記に「NET○○g」と書かれています。これは、中身だけの重量を表記しているんですね。食べられない袋や容器を含めた重量がグロスということになります。
ビジネスシーンでよく見るネットとグロス
ネットとグロスはあらゆるビジネスシーンで見ることができますが、業界によって使われ方が様々です。
どの業界でも共通して、よく使われるものとして見積書がありますが、標準的な使われ方としてグロス価格は販売手数料込みの売値のことを指し、手数料を差し引いた原価のことをネット価格とします。しかし業界によっては、利益を除いた純利益のことだったりします。
請求書も同様ですので、注意が必要です。
不動産業界でよく使われるネットとグロス
不動産業界で、よく使われる「ネットとグロス」は、不動産投資の場面だと思います。
不動産投資の場合のネットとグロスは、表面利回りや実質利回りのことで、前者をグロス利回りと言い、経費や税金の支払いをする前の収入のこと指し、ネット利回りは経費や税金を支払った後の正味の収入となります。
スコア・食品・投資などの他にも、貿易統計や政府債務などでも、ネットとグロスは、使われることが多いです。
賃貸事務所で使うネットとグロスは、「面積」
では、賃貸事務所で使われるのはどういうときなのでしょうか。
賃貸事務所で使われるのは、貸室面積の表し方です。グロス面積は契約面積にトイレなどの水廻りやエレベーターホール、廊下などを含んだ面積のことで、ネット面積は実質の面積、つまり実際にオフィスとして使える部分の面積を表しています。
同面積、同賃料で募集している2つのビルがそれぞれネットとグロスあると仮定して考えるとネット面積で募集しているほうが使える面積が広いということになります。賃貸事務所では、どちらの面積にするかは貸主によって様々ですが、大型のオフィスビルはネット面積で小型~中型のビルではグロス面積が契約面積とすることが多い傾向にあります。
終わりに
グロスかネットかで注意したいのは、移転の際に現事務所と新事務所の契約面積がどちらの面積かという事です。
同じ表し方なら問題がありませんが、例えば拡張移転の場合で、現事務所がネット面積50坪で契約していたとして、新事務所はグロス契約の60坪ということであれば、ほとんど広さが変わらないなんてこともありえます。
また、相場の坪単価で物件を探していたとしても、ネットかグロスかで大きく変わってしまいます。賃貸事務所の募集広告では、面積がネット契約かグロス契約か表記されていないことが多いので、気になる方はあらかじめ確認しておくと、安心して入居することができるでしょう。
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