JR山手線の新駅の名前はどうなる?

およそ50年ぶりに誕生する山手線の新駅開業まで、あと約2年となりました。

そんな中で注目されるのが、新駅の名前。

現在、「品川新駅」という仮称で工事が進んでいますが、正式にはまだ決まっていません。最終的に決めるのはJRですが、公募をしてその中から決めるというのが昨今の風潮ですので、今回もそのような形をとるでしょう。

駅名は、その地域との関係性が深く、決めるのは簡単なことではないようです。そこで、今回は、現在候補として挙げられている名称と駅名決定の難しさについて考えてみたいと思います。

 

いつ決まるのか

駅の名前は、「鉄道事業法」で乗り入れ鉄道の運営会社に決定権があるとされています。つまり、今回の山手線の場合、JR東日本ということになります。

昨今では、公募という形で候補を募り、その中から決めるケースが多くなっています。これは、駅はその地域との関係性が非常に深いため、鉄道会社が独断で決めるより、実際のイメージに合った名前になることが期待できるからです。

では、いつ決まるのかというと、まず、JRが2018年に公募を発表すると言っていましたので、今年中には、公募が開始されるでしょう。過去の例から考えると、公募名称から5~6つの駅名を選定してJRが最終判断、開業の1年前に発表という事になるのではないでしょうか。したがって、遅くても2019年には発表されるのではないでしょうか。

では、公募前に候補として挙がっているのはどのような名称でしょうか。

[追記]
6月5日~一般公募が始まりました。
下記URLで応募できますので、ご興味のある方は応募してみてはいかがでしょうか。
http://www.jreast.co.jp/shinagawa_shineki/

 

しながわ新都心駅

どこかで聞いたことがあるような・・・。そう「さいたま新都心駅」です。

イメージ的に新しい都心が誕生するという点で共通しているので出てきた候補だと思います。しかし、新駅ができるのは実際には港区。以前から「品川駅、実は港区問題」がありますので、この名称は無いのではないでしょうか。

 

新品川駅

無難といえば無難なネーミングです。

品川駅の北に位置するので「北品川駅」という声も聞こえてきそうですが、北品川駅はすでに京浜急行線の駅にありますので、これも選ばれなさそうですね・・・。

また、「しながわ新都心」と同様に、実は港区という点で引っ掛かりそうなので、この案も無しかなと思いますが、あまりにも無難なので、意外にもこれだったということは、充分に考えられます。

 

泉岳寺駅

都営浅草線「泉岳寺駅」が近いので、一緒にしましょうということだと思います。

しかし、このネーミング、いろいろと繊細な問題があるので難しいのではないでしょうか。

まず、JRが他社の駅名に便乗することが考え難く、また、泉岳寺が、商標権の侵害で東京都に訴訟を起こした過去(1997年 原告敗訴)があり、そもそも泉岳寺が浅草線の駅に「泉岳寺駅」という名を使用することをよく思ってなく、許可もしていないのです。

但し、新駅は「泉岳寺」の最寄であり、知名度も高いので、もしかすると・・・

 

芝浦駅

街のブランドイメージをそのまま駅名にする発想。人気も非常に高い候補で、バブル世代にはグッとくる地名ではないでしょうか。

しかし、実際の芝浦エリアは新駅から近いとは言い切れない位置にあり、どちらかというと田町駅のイメージが強いです。したがって、人気は高いのですが、微妙な地位だと考えます。

 

高輪駅

一番人気の高い候補です。

駅の位置、地名のブランド力からすると、一番人気というのはうなずけます。高輪台、白金台に続く高級住宅エリアであり、イメージがいいです。

また、地域住民の温度が高く、署名活動まで行っていますので、最も可能性が高いというのは間違いありません。

しかし全国的な知名度というと、少し弱い気がしますので、不安は残ります。

 

折衷案

駅名を決めるというのは非常に複雑で、地域によってはその地区ごとの主張によって揉めることもしばしばあります。

そうなった場合に登場するのが折衷案。簡単に言うと、名前をくっつけるだけ。例えば「高輪芝浦駅」、「品川泉岳寺駅」など。実際にこのような形でついた駅名は案外多く存在します。

  • 栃木県「那須塩原駅」
    「西那須野駅」と「黒磯駅」の中間にできた駅。
    当初は、新駅が黒磯市にあるため「新黒磯駅」が第一候補。しかしJR(当時は国鉄)が那須という地名のほうが有名だからという理由で「新那須駅」が立候補。それで落ち着きかけたときに、塩原温泉郷も入れるべきという一派が登場。国、自治体、住民を巻き込み揉めに揉めた結果、「那須塩原駅」に決定。
  • 北海道新幹線「新函館北斗駅」
    建設当初からほぼ「新函館駅」で決まっていたが、北斗市の当時の市長が「北斗駅」を猛プッシュ(駅の所在地は函館市ではなく北斗市)。事態は平行線へ。最終的に双方譲らず「新函館北斗駅」で決着。

この他にも、大阪の地下鉄では二つの町名をくっつけた駅名がよく使われているようです。意見が拮抗するようであれば、折衷案でいくことも充分にあるでしょう。

 

まとめ

新駅の名称は、現時点では「高輪駅」対「芝浦駅」の決戦で、やや「高輪駅」優勢といったところでしょうか。このままスムーズに行けば「高輪駅」。主張がぶつかり合い、こじれるようであれば「高輪芝浦駅」または「芝浦高輪駅」と予想しておきます。

※「芝浜駅」。古典落語の舞台であることから候補に挙がっていましたが、いつの間にか候補から消えていました。以前書いた記事で推していた駅名で、外国人が「shibahama」と発音しやすいですし、古典落語からきているので趣もあっていいと思ったのですが。とても残念です。