普段はあまり気に掛けることはないが、街中で当然のように存在するブロック塀。このブロック塀、とても頑丈そうに見えるが、大きい地震が起こるたびに倒壊の報道が流されます。
1978年の宮城県沖地震では28人の方がブロック塀の下敷きになり犠牲になっています。
これを機に1981年に建築基準法が改正され、安全性が改善されたものの、一昨年、2016年4月の熊本地震、そしてつい先日、2018年6月の大阪北部地震で、またもやブロック塀の倒壊による犠牲者が出てしまいました。
ブロック塀に使われるブロック一つはおよそ10kg。その塊となった塀の重量は相当なものになるはずで、突然倒れてきたら、子供はもちろん大人でも防ぐのは難しいと考えられます。まさに凶器です。
しかし、全部のブロック塀が危ないということではなく、現在の建築基準法に沿ったものであれば、巨大地震が起こっても即座に倒壊する危険性はかなり低いです。
ということで今回は、建築基準法に定められたブロック塀とはどういうものなのか、それを知ることで、危ないブロック塀を見極める方法をご紹介します。
建築基準法におけるブロック塀
まず、ブロック塀の建築基準法の定義を見ていきましょう。
(以下、建築基準法施行令 第六十二条の八より引用)
(塀)
第六十二条の八 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。一 高さは、二・二メートル以下とすること。
二 壁の厚さは、十五センチメートル(高さ二メートル以下の塀にあつては、十センチメートル)以上とすること。
三 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径九ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
四 壁内には、径九ミリメートル以上の鉄筋を縦横に八十センチメートル以下の間隔で配置すること。
五 長さ三・四メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの五分の一以上突出したものを設けること。
六 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の四十倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
七 基礎の丈は、三十五センチメートル以上とし、根入れの深さは三十センチメートル以上とすること。
2.2m以上、10cm未満のブロック塀には注意
上記の法令を踏まえると、ブロック塀の外見だけ見ても法律違反か法改正前に建てられたものであることが分かります。
高さ2.2m以上、または厚さ10cm未満のブロック塀を見かけたら注意してみてください。
控壁がないブロック塀には注意
上記の五項にある控壁の存在も外見で判断できる材料の一つです。控壁とは、転倒を防ぐためのものでブロック塀に対して垂直方向に立てられ、塀よりも低いのが特徴です。
大阪地震で倒壊した小学校のブロック塀は、高さはもちろんこの控壁すらなかったように見えました。まさにいつ倒壊してもおかしくなかったと言えるでしょう。
透かしブロックの状況によっては注意
「透かしブロック」とは空洞部があるブロックで通気性を高めるために用いられます。(上部の挿絵にも入っていますね)
この透かしブロックを使うこと自体は違法性はありませんが、このブロックが縦横に連続に使われている場合は、強度不足の可能性があるので、少し注意が必要です。
最後に
これらの他にも、ひびが入っていたり傾いている場合、また少し押すだけでグラつくようなブロックは、地震が起こった際にとても危険なので改修工事が必要でしょう。専門家でなくても、今回挙げたチェックポイントで一目で危険なブロック塀かどうか確認できます。
大地震は、いつ起こってもおかしくありません。日常よく使う道にあるブロック塀が安全なものであるかどうか、あらかじめ確認してみてください。
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