建物より早い!エレベーターの寿命!?

バブル時代(昭和62年~平成5年頃)に建てられた多くのオフィスビルやマンションも築25年~30年が経とうとしています。一般的にビルの耐用年数はRC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造で47年とされていますので、バブル時代のビルやマンションは耐用年数的には、まだ10年以上も余裕があります。

しかし、ビルやマンションには欠かせない「エレベーター」は、約25年で一つの節目を迎え、更新が必要になってきます。

エレベーターの更新も建物の寿命に合わせれば良いのではないかと思いますよね。では何故、今なのか。また、それに伴い生じるであろう考えられる問題に迫りたいと思います。

 

主要機器が廃盤になってしまう

一般的にエレベーターの各メーカーは、既存機器の部品を含めた主要機器の製造を「25年」で終了します。つまり部品が廃盤になってしまうのです。(基本的に、メーカーも25年前後になると、建物所有者に更新の通知を行っています。)

部品の在庫を考慮しても、30年前後のエレベーターで万が一故障が発生した場合、交換する部品がないため、改修できない可能性がきわめて高いでしょう。

バブル期に建てられたオフイスビルやマンションは、まさに「今」がエレベーター更新の時期と言えるのです。

 

1基のみのオフィスビルは要注意

今、築25年~30年を迎えるビルは竣工した時代背景もあって非常に多く存在します。したがって、今現在、エレベーター更新の依頼もすでに殺到しており、とても混み合っています。

依頼してもすぐに出来ないケースがほとんどで、さらに、建物に対して一基だけの場合は二基以上ある建物よりもっと待たされる状況となっています。

なぜかというと、エレベーターの更新は「連続して1週間」は停止しなければできません。二基以上あれば、一基毎に行うため、多少の不便はあっても稼働しているエレベーターがありますので、工事日程は、ある程度自由に選択することができます。しかし、一基のみの事務所ビルではそうもいきません。1週間ストップしてしまうのは入居者に大きな負担をかけてしまうことになりますので、通常、GWや夏季休暇、年末年始などに合わせて行うようになります。

前述したとおり、バブル期に建てられたビルは非常に多く、今から依頼しても「2年後」になってしまうケースも発生しているのが現状です。

 

工事費用は意外とかかる!?

そんなに待たされるなら、もっと早くやっておけば・・・と、思いますが、そこには大きな壁が立ちはだかります。それは「費用」です。

大震災が起こる度に、震度5から震度6への対応変更など、この20年で「法定基準」も大きく変わってきており、費用も上昇傾向にあります。

「9人乗り9階建」の場合を例に挙げれば、
・最新の基準更新で意匠(形状や見た目・デザイン)までリニューアルすれば「1000万円~1200万円」
・法定最低基準(既存不適格は残るが法的にはクリア)で意匠更新までは行わないケースで「700万前後」
など、工事内容により、2~3段階くらいで対応しています。

 

最後に

ビル所有者にとって、生涯に1回か2回しか経験しないとはいえ、大きい負担となるでしょう。工事に対して躊躇してしまうのもうなずけます。

しかし、過去のエレベーター事故や地震対応などでもみられるように、入居者にとっては、生命に関わることですし、遅れれば遅れるだけ、故障した時に修理部品が無く、かえって長期間利用ができないなんてことにもなりかねません。

早めにリニューアルすることで、ビルの印象も良くなり、新しいエレベーターは電気代の削減にもなります。竣工25年を過ぎた建物は早急に検討していただきたいと思います。