賃貸事務所の同居申請・承諾書とは

「複数の会社で一緒に事務所を使いたい」
「数社共同で契約したい」
賃貸事務所をお探しのお客様の中には、このようにお考えの方もいらっしゃると思います。
数あるお問合せの中でもよくいただくご要望です。

グループ会社の場合や知人同士で家賃負担をしたい場合など、背景は様々です。

しかし、通常の事務所の賃貸借契約では、
契約書の以下のような条文で数社の使用は禁止されています。


(禁止または制限される行為)
第○○条
2.本物件の全部又は、一部につき賃借権の譲渡、転貸もしくは※使用貸借をなし、
あるいは、本物件を第三者に使用させ、若しくは、契約者以外の名義を表示してはならない。
以下省略
※使用貸借とは、無料で貸すことです。

このように、ほとんどの賃貸借契約書で禁止事項とされています。
一つの物件に、一社しか入居できないということになりますね。

理由としては、契約名義と違う会社が、その物件の一部とはいえ使用し、
表示していることは貸主からすれば、まったく知らない会社が入居していることになります。
その点だけを見てもおかしいということは分かりますが、実際に何か問題が発生した時にも困るからです。

 

でもちょっと待って下さい。
一つのフロアまたは貸室に複数の企業名が表示されているビルをよく見かけますよね。
あれはいったいどういうことなのでしょうか。

ということで、少し前置きが長くなりましたが、数社が共同で使用する場合の
契約書及び方法をご説明したいと思います。

前提として、申込前に前もって何社で利用するか貸主に伝えておくようにして下さい。
実は…と後から申し伝えても不審がられるだけです。

  1. 賃貸借契約書はそのまま
    禁止事項から除外するのではなく、そのままの契約書で契約を取り交わします。
  2. 契約するのは1社
    同じ負担範囲で入居するとしても代表の1社が契約名義人として契約をします。
  3. 同居申請書/承諾書
    契約書とは別に同居申請書を提出し、貸主から同居承諾書を受け取ります。
    申請書には、契約名義会社と同居する会社を記名押印することに加え、
    同居希望会社の登記簿謄本、印鑑証明を添付します。
    承諾書は、貸主の記名押印がされます。
    当社では以下の書面で、申請書と承諾書が一緒になった物を使用しています。
同居申請書
               様
申請日:平成25年  月  日
平成25年 月 日付けで締結した           貸室賃貸借契約書(以下賃貸借契約書という)に基づき、貴社より賃借している事務室内に、次の者を平成25年 月 日より同居させたいと存じますので、当該賃貸借契約第 ○条により同居は禁止されておりますが、そこを特別に承諾賜りたく、同居希望会社の登記簿謄本・印鑑証明を添付のうえ、申請致します。
尚、同居の御承諾を得ました上は、下記の各事項を厳正に守り、貴社には一切のご迷惑をおかけ致しません。
  1. 当該賃貸借契約が解除となった場合は、理由の如何を問わず賃借人の責任において同居者を退出せしめ、物件の完全なる明渡しをしなければならない。
  2. 同居者においては、賃貸人に対し賃貸借契約上、もしくは借家法上の権利が何ら発生せず、従って賃貸人に対し何らの権利主張もなし得ない。
  3. 同居者は賃借人の関連会社であり、関連関係が消滅した場合に同居者は、直ちに借室から速やかに退去しなければならない。
  4. 同居者の行為により生じた賃貸人に対する損害は、全て賃借人の負担とし、速やかに賠償の責に任ずるものとする。
  5. 賃借人は、同居者に当該物件の賃借権を譲渡してはならない。
  6. 同居者が当該賃貸借契約及び管理規定に違反する行為のあった場合は、全て賃借人の契約違反として処理されても賃借人は一切の異議を申し立てることが出来ないものとする。
  7. 賃借人が、新規設立予定の法人の同居については、別途必要書類を添付のうえ、甲乙誠意をもって協議するものとする。
  物件の表示  申 請 人
賃 借 人
代 表 者                        印
所 在 地

同 居 人
同 居 人
代 表 者                        印

同居承諾書
               様
申請日:平成25年  月  日
平成18年  月  日付で貴社より提出された同居承諾願いについて記載内容を条件として承諾いたします。
  賃 貸 人

このような手順を経て、数社共同で貸室を使用し、案内板にも表示することができます。

複数の企業で入居する予定で物件をお探しの方は、参考にしてみて下さい。